Tuesday, July 16, 2013

ストリート観察のすすめ ミラノファッション


あるストリートファッションのブロガーが、最もインスパイアされる街にミラノをあげたと聞いた。世界中の道端で、お洒落さんを追っかけて写真を撮っている人が言うんだから、説得力があるはず・・・・・。それ以来、僕もキョロキョロ観察しながら歩くことにした。

世界の情報発信の中心地ニューヨークには住んだこともあるし、すべてが小洒落たパリにも何度も行ったことがある。そんな強豪を押しのけて、 我が街ミラノが世界一の座に輝くとは、いかなる所以か?

 
乾いた太陽と相性が良いサマードレス
ベルトで腰回りのラインを見せるのがポイント
女優のクラウディア

確かに流行の特別な服装をまとっているわけでもないのに、格好の良いミラネーゼが確かに結構いる。僕の観察の成果としての意見は、彼らが格好良い理由は多分、服のサイズが体に合っているからだろうということ。

そういえば、近所にも、たくさんのお直し屋がある。需要があるからか、歩ける範囲内だけで5〜6軒。自分サイズにきっちり直した服は生地が体に綺麗に落ちて、服が立体的に見える。スーツなんかは当たり前、ジーンズも裾丈どころか幅も。。。ドレスだって絞れるところは絞って、Tシャツまで直す人もいるらしい。まあ、20世紀の大量生産がはじまる以前の時代には、一着ずつ縫っていたわけだから、直すくらい当たり前なのかもしれない。

新鮮な魚介料理で知られる「Ristorante 13 Giugno」の名物オーナー 
サヴェリオさん ミラノを代表する伊達男の一人
お店で自ら歌う事もあるエンターテーナー

ちょっとおなか周りに貫禄が出て来たオヤジさんだって、それを隠すためにゆったり目の服を着るよりも、サイズの合った服を着た方がセクシーなのを知っている。対して女性も胸元やウエストを強調した服を来て、視線浴(?)にも慣れている様子。ギリシャ、ローマ文明から続く人間賛美、生の絶対肯定の地中海の思想に根ざしていると考えるのは大げさだろうか。

そして、見られる感覚を研ぎ澄ませるには、道端の劇場の役割を果たすピアッザ(広場)が、一役買っている。街の中心や教会の前などには、ピアッザがあって、近くにはコーヒーやアペリティーボ(食前酒)を飲むためのバールなどがある。「じゃ、ピアッザにでも行こうか?」「何しに?」「人を見に、そして見せにいくためさ(Per vedere e farsi vedere)」などという言い方もあるとか。

そんな人生を楽しむ人の生き方が、ブロガーをインスパイアしているに違いない。ミラノに来たら、ショッピングの合間に、ピアッザのバールの席に腰を下ろして、そんなミラネーゼを眺めてみてはどうだろう?



全日空機内誌「翼の王国」
2013年5月号の巻頭コラムより加筆転載しました。

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