カーニバルの伝統衣装が、最も似合う場所「カフェ・フローリアン」
男性の手元に注目。仮装していても携帯電話だけは手放せない?
男性の手元に注目。仮装していても携帯電話だけは手放せない?
中世の頃から共和制をとり、バチカン教皇庁の支配も弱く、東洋にも開かれた港町だったベネツイアは、進取で自由な気風があり、カーニバルも他の街に比べて派手だったのだとか。
カーニバル期間中の夜更けのサンマルコ広場は、
今まで旅した中でも最高のタイムトリップと言えるだろう。
なんといっても、ヴェネツイアは、巨大な舞台装置のような特別な街。自動車は一台もなく移動手段は歩きか船。リズムも現代社会からかけ離れています。普通の日でさえ、タイムトリップした様な気分になる水の都なわけですから、この仮装者のおかげで余計に、カサノヴァが主人公の映画の中に自分が迷い込んだような気になってくるのです。今回で、ヴェネツイアのカーニバルは二度目ですが、 私が最も好きなのは、夜などに徘徊している仮装の人たちを眺める事です。静まり返った夜のカーニバルは、余計な雑踏が省略されて、なんともフォトジェニックなのです。
そんな一般の観光客が宿に戻ったような夜更け頃には、仮装した男女がサンマルコ広場のカフェ・フローリアンに集い、数百年前の仮面舞踏会の様な異様な雰囲気を漂わせていました。世界最古のカフェとも言われていますが、今でも重厚でクラシックな内装が保たれています。なぜ、彼らがフローリアンに集うかといえば、何と言っても彼らの仮装が最も映える場所だからでしょう。
カフェ・フローリアン前に集う仮装者たち。
フランス語を中心に、ヨーロッパ中の言語が飛び交っていた。
店内は小さな部屋に分かれており、綺麗な衣装をまとった人達は、何気に特別な部屋に通されていました。これも心遣い。その部屋の窓には報道カメラマンなどがへばりついていました。そんな写真が、世界に配信されているんでしょうね。
「最も伝統的」とメニューに書かれた珈琲をオーダーしてみました。現在イタリアで一般的なエスプレッソとは違い、軽くフィルターにお湯を通したものでした。この珈琲から想うに、当時は抽出の掟みたいなものも少なく、今よりもっと自由に珈琲を楽しんでいたのでしょう。
国際的な港がある街と言うのは、基本的に世界中どこでもオープンマインドを持ちあわせているもの。最古のカフェということは、当時は最新のものだったはずです。オリエント急行の発着点でもあり、かつての東西文化の交差点ベネツイアで、往時の進取で自由な気風に思いをはせてみました。
カサノヴァや、ゲーテ、ワーグナー、プルースト、ニーチェなどが
座ったかもしれない席で飲むドリップ式コーヒー
昼間はちびっ子仮装者も参加。
ともあれ、期間中のベネツイア旅行の現実は人の波。。。
雑誌「珈琲時間」2012年8月号から転載加筆させて頂きました。
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