バカンスでミラノが止まる8月
8月のミラノの人口は、どれぐらい減るのだろう?通りを行き交うクルマも少なく、異様な静けさが漂う。
ミラノでは桜の花が咲く春くらいから、「今年の夏はどうするの?」などという会話が飛び交う。気の合う仲間なら、「一緒に何かしようよ」という話や、他人の経験談がバカンスコンサルタントに発展する事もある。とにかく、会社員でも、平気で2~3週間ぐらいのバカンスに出てしまう。自由業の人や富裕層のバカンスは、もっと長い場合もあるだろう。
8月は、ミラノが止まってしまうと考えて良い。日本の元旦が、ひと月続くという感じだ。今でこそ8月でも営業しているスーパーマーケットは結構あるのだが、ひと昔前は、夏のミラノでは普通の暮らしをするのも大変な状態だったと聞く。
まあ、私の知る限りの周りのイタリア人の様子なのだが、バカンスに関しては強迫観念的なこだわりがあるようだ。「良いバカンスを送ることができなかったなら自分の価値がなくなってしまう」という恐怖感さえあるのではないか?バカンスなしではアイデンティティークライシスに陥ってしまうことだろう。要するに、バカンスを誰とどう過ごすかで自分と言う人間を表現し、自分の存在理由を再確認すると言った感じだ。加えて、ここぞとばかりの、見栄の貼りどころでもあるようだ。
犬捨て防止を呼びかけるポスター。
とは言っても、便乗バカンス!
彼らのバカンスに対するこだわりは、イタリアで十回以上の夏を過ごした私にも到底理解しがたい。強迫観念や過度のこだわりや見栄から解放されて、身の丈にあったストレスフリーなバカンスを過ごすことができたなら、より豊かな夏になることだろう。
「我々にバカンス文化を完全に理解するのは難しい」などと言いつつも矛盾するようだが、実は、私も多少なりとも便乗バカンスをする事にしている。地中海の夏は確かに美しい。天気が毎日よくて、乾いた空の色や風の匂いも格別に心地がいい。
夏に楽しまないで、いつ楽しむというのか???とりあえず、海か山に行こうではないか!!!ただし、強迫観念にはとらわれぬように……。
「我々にバカンス文化を完全に理解するのは難しい」などと言いつつも矛盾するようだが、実は、私も多少なりとも便乗バカンスをする事にしている。地中海の夏は確かに美しい。天気が毎日よくて、乾いた空の色や風の匂いも格別に心地がいい。
夏に楽しまないで、いつ楽しむというのか???とりあえず、海か山に行こうではないか!!!ただし、強迫観念にはとらわれぬように……。
そして、秋はバカンス自慢の季節。よく、懲りないなあ。
P.S.
2009年にWebUomoに掲載した文章に加筆しました。しかし、実はこのバカンス、夏の節電にもなっているんですよね。これって、もしかすると、地中海の知恵なのかもしれない。「暑いならクーラー」じゃ体にも悪いし、心地よくない。それで「暑いなら休みに、そして涼しい場所へ移動」と言う人間の精神と肉体の賛美???が、思わぬ効果を生んでいると言うか。。。南欧のエコロジーは、論理ではなくて、そんな人間主体の気分そのものがリードしているようです。
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