Thursday, January 29, 2015

「死ぬことを忘れた長寿の島」エーゲ海に浮かぶイカリア島

ギリシャ神話には、ニケやキューピッド、イカロスなど、天使のように羽のある神様が何人かいます。僕が今いるイカリア島はその名からも想像できる通り、イカロスと縁のある土地だそうです。

ライフワークのひとつが天使像の撮影でもある僕はそんな島の名前と、「老人が長寿で元気な島」という記事を読んで以来、このイカリア島に興味を持ちました。世界でも数か所しかない特別な長寿地域として、沖縄の一部やイタリアのサルデニア島山間部などと共に研究対象として選ばれているそうです。なんと、この島の長寿率は、欧州平均の10倍とも言われています。

 スーパームーンの満月の日に海を眺めていて
「できる限り長生きしたいなあ」と考えたりした。
確かに、そう思わせるくらいの地中海の絶景。

 猫のカップルの昼寝姿。
遠望する山の中腹に養蜂箱が並んでいた。

島をクルマで行くと、ヒッチハイクしている島民に頻繁に出会います。島全体にコミュニティー意識がみなぎっている様子。こんな仲間たちに見守られている感覚も、人生を豊かに謳歌するために重要なことなのかもしれません。

ホテルの朝食のパンやヨーグルトと共に味わう島内産の蜂蜜は、香りに複雑な深みがあって驚きました。地中海の太陽の恵みでしょうか。

ローマ時代には、ここに温泉場があって賑わったそうです。源泉は今でも現役で、公共の蒸し風呂が地元のお婆ちゃんたちの語らいの場になっていました。

 街の広場にて、蒸し風呂で会話したお婆ちゃんに再会。

  豪勢にフェタチーズをのせたギリシャサラダ。

島の南側に天然の露天風呂がある事を聞きつけて、早速行ってきました。海岸に摂氏60度近くもある熱い天然源泉が注がれ、海水と混じり合ってちょうどいい湯加減に。波の押し寄せ方によって、多少温度が下がったり上がったり一定でないのが、更に良い感じ。海水のワイルドな揺らぎに身をゆだねつつ、地中海を最高の気分で眺めてきました。

海岸の石が赤いのは、温泉の色。
源泉近くは日本の銭湯並みに熱く、良い湯加減な場所を自ら探す。


コーヒーの粉の触感も魅力。大概、頼まなくても水がついてくる。

街の広場にはカフェテリアが軒を連ねています。日陰のテーブルに座ってみました。入浴後の心地よい疲労感にギリシャコーヒーのほろ苦さが効きます。 オーダーの際に砂糖の量を聞かれます。フィルターで漉さないので、作る時にコーヒー粉と砂糖を同時に入れてしまうんです。粉がカップの底に沈 むのを悠長に待ってから、のんびりと飲むのです。

読んだ記事によると、老人が元気な地区ではコミュニティー意識の高さや野菜をふんだんに使った食生活、歩行を始めとする運動が自然に生活に組み込まれていることなど、ライフスタイルに一定の共通点があるそうです。

それに、この島の場合はきっとあの香り高い蜂蜜やほろ苦いギリシャコーヒー、それに温泉や地中海の絶景などの刺激が、長寿に良い影響を与えているのでは・などと僕は想像しています。






雑誌『珈琲時間』2015年2月号から、転載加筆させて頂きました
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